第25回 香港ビジネス懇話会

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第25回 香港ビジネス懇話会

『当社の香港・中国での活動と海外展開』
    講師:根本特殊化学株式会社 代表取締役会長 根本 郁芳氏
    開催日: 2011年11月18日(金)
    所属名:ビジネス交流委員会
    場所:日本橋 HSBCビル 10F 大会議室
    
特殊化学とは?新夜光塗料はどのような用途に使われているのか?世界17か国で特許を取得し、独自の技術で世界シェア80%を占める会社とはどのような会社?  一般の方には馴染みのない会社名や商品名かもしれません。今回は中小企業の中でも大企業に負けない活動を行い、特殊・独自技術を駆使して積極的に海外展開を図り、世界No.1企業を目指している根本特殊化学株式会社の根本郁芳会長に香港・中国での活動状況や経営理念・戦略・戦術など幅広くお話しいただきました。   

根本会長のプロフィール:
     1933年福岡県生まれ。早稲田大学第一法学部卒。労働省東京労働基準局対職後、1959年根本特殊化学(株)の前身「合資会社根本光化学研究所」に入社、1964年代表取締役社長に就任。その後、特殊化・多角化・国際化を旗印に事業を拡大し1978年香港に進出。さらに積極的に海外展開を図り、現在、ポルトガル・オランダ・スイス・中国に製造拠点或いは販売拠点を展開。2008年代表取締役会長に就任。
      現在、根本特殊化学株式会社をホールディング・カンパニーとする分社化体制を構築中。

■講演の要旨

1.1978年に初めて香港に進出するにあたり、現地パートナーを紹介していただくなど日本香港協会の原田光夫現理事長に大変お世話になり、それ以来長いおつき合いが続いて会社の恩人とありがたく思っている。

2.当社は1941年時計・計器の夜光塗装加工と塗料販売を目的に創業。大戦後、残された戦時物資の中にラジウム入り夜光塗料があり、これを大量に手に入れてセイコーの目覚まし時計の文字盤・針への塗布加工が始まったが創業期の主力事業であり当社飛躍のきっかけとなった。

3.その後、放射性物質取り扱いに規制が強化されたことから非放射能化新商品の開発に取組み、1991年「N 夜光(ルミノーバ)」を完成して精工舎(セイコー)に納入することで逆境をチャンスに変え夜光塗料100%のシェアを押さえることができた。

4.夜光塗料の技術をコアに特殊化と多角化を進め①蛍光体製造技術(蛍光体事業)②放射線取り扱い技術(センサ事業・ライフサイエンス事業)③塗装・印刷の技術(時計・電材事業)と裾野を広げ国内で6社、海外で12社の事業会社を展開して根本特殊化学グループを形成している。
  香港への進出は1978年現地パートナー王氏(Wong)と合弁会社を設立したことから始まった。その後、時計文字盤加工をスタートし、セイコーの中国進出に伴い深セン、上海、宝安などに加工工場を設置した。

5.パートナーとは出資比率・業務提携形態などの変遷を経て、2009年に合弁事業を解消、現在独資会社の「根本精密(香港)有限公司」に商号を変更している。また、香港には販売事業などを行う「香港根本特殊化学有限公司」がある。
現地パートナーとの合弁そして解消を通じ、日本人は長い目で考え、物を見るが華僑(中国人)は目先のことを優先するが一族ファミリーは大事にする傾向があると思っているが、“出会いは大事に”“去る者は追わず”ということを華僑との付き合い方の中で学んだ。

6.講演の中で日本テレビの災害対策グッズの紹介を兼ねた会社紹介番組のビデオ紹介があった。東日本震災や停電節電のこともあり停電時の避難誘導標識が鮮明に避難誘導を果たした
実例が紹介されたことから注目を浴び、地味な会社だった当社の知名度が一気に上がったことが披露された。

講演の最後に質疑応答が行われた。

 Q:企業理念が話されたが、会長として会社の中でどのようにして理念を浸透させているか。世界各地でどのようにして会社理念を共有しているか。
 A: ・教育とか何とかが大事だというものではなく、各人が自然に身につけていくものだと思う。そのためには会社のすべてをオープンにしている。5月が決算期でだあるが、会社業績のすべてを明らかにして全員が状況を認識するようにしている。
   ・リーダーがしっかりしていなければならない。出来るだけローカル・スタッフをたてる。言葉ではない。意志や考えをどう伝えるか。信頼関係が何より大切だ。
   ・”温かい雰囲気のやり取り”が大事だ。





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