第23回 香港ビジネス懇話会

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『香港ビジネスのこれから〜中国での事業、16年をふまえて見えてきたこと〜』
講 師:株式会社チャイナ・コンシェルジュ 代表取締役社長 大西 正也氏
開催日:2011年7月12日(水)
所属名:ビジネス交流委員会
場 所:千代田区内幸町 「フォーリン・プレスセンター」 
中国ビジネスを始めてから17年目に入り、この間、中国・香港で広告・出版事業を展開し、現在は中国・香港の富裕層向けに日本へのインバウンド事業にも拡大推進されている株式会社チャイナ・コンシェルジュ 代表取締役社長 大西正也氏をお迎えして16年にわたる中国ビジネスの経験談、インバウンド事業から見えた日本と中国の考え方、仕事の進め方のミスマッチを商機に変えるコツ、さらに大きくなるとみている香港の優位性及び不安要素、これからの日本が香港に学ぶべきところなど第一線で活躍中の方ならではの具体的事例を披露しつつ熱く語っていただきました。
大西 正也氏のプロフィール:
  1963年兵庫県生まれ、大阪市立大学(経)卒
  リクルート退職後、中国へ在住。1995年の大連を皮切りに北京、香港、上海と広告会社を設立。現在は各社を統括する㈱チャイナ・コンシェルジュを本拠地東京に置き、中国香港からのインバウンド事業を推進、北海道観光振興観光情報WGメンバー、沖縄県国際 観光戦略モデル事業、成田空港成長戦略会議にも参画するなど多岐にわたりご活躍中。 
  講演の要旨
 1.まず、1)中国と香港の違いは何か? その違いを判ったうえで新しいことができるのではないか
2)ツイッターのフォロワーから「今さら香港か」と質問を受けることが多いが、
今さらではなく、これから香港がさらに注目されると思う
3)香港は東アジアの中心として世界進出の拠点となるだろう
4)これからの香港はアジアのお手本になる
5)これからの日本は香港のようになるべきだと思っている
という考え方の根拠を示して講演がスタートした。

2.中国で最初に拠点を設立(1995年)したのは大連であるが、大連が出版物の規制が厳しい中国で比較的規制がゆるく、且つ必要資本金も少なくて済んだことによる。日本企業が日本語で在中国日本人向けにフリー・マガジンの広告・生活情報誌を刊行するのを許可したのは
中国で初めての事例である。 

3.三番目に拠点設立したのは香港である。当時、ニューヨークも考えたが、香港のメリット
①金融・通貨交換が容易②中国の情報が入りやすい③時差がないなどに加え、中国に投資を考えている一方で中国は良く判らない、規制が突然変わり怖いと思っていた日本のベンチャー・キャピタルのためにチャイナ・コンシェルジュ(本社)→香港→中国という出資の受け皿作りのスキームができたからだ。
このようなメディア活動は読む人・見る人により中味を変える必要があり、同社が発行している多種類の情報雑誌や自社サイト、観光庁などの運営協力しているサイトが紹介された。

4.インバウンド活動に手を染めたのは愛知万博当時、小泉首相が提唱した“Visit Japan”で外国人を日本に呼び込む活動に協力したことに始まる。東日本大震災後、香港人が中国人旅行者をリードしているが、しかしながらさらに多くの中国人訪日旅行者を呼び込もうとしても、日本側と中国旅行者との間のミスマッチが起こっていることも問題だ。
 日本のツアー会社は‘中国人は貧乏だ’と思い込んでいて中国人のサイフの中味を知らず日本で提供するホテル、食事・サービスは彼らの期待を下回るものが多く、旅行者は不満を抱くことが多い。また、日本の自治体が中国のツアー会社を相手に開催するセミナーでも、バック・マージンなど金銭に絡む話を避けて、通り一遍の説明ばかりするので中国側は自治体セミナーには興味を示さない傾向がある。さらに日本のルールを知らない中国人旅行者への日本側の説明が不足していてトラブルが起こるが、中国人の行動の知識を日本側関係者への啓蒙活動が必要。
このように日本の旅行会社が知らない、手をつけていないところに狙いを定めミスマッチの解消に努めることが大事と考え、通常の日本の旅行会社とは違う独自の活動を進めている。

5.中国を代表する東アジア・マーケット(新興マーケット)の動向と留意点:
中国人だけをマーケットにしてよいのか、中国のマーケットは本当に大きいのかといった疑問を持つ人もいるが“中国を知る”ことが重要である。
但しそのためには、日本では貧富の差は少なく、ある程度の範囲に分布が固まっていて「平均年収はお幾ら?」などと尋ねたりすることが多いが、中国、インドネシアのように貧富の差が大きく、地域によって大きく異なり、職業・役職により年収が大きく異なるなど“平均値”がほとんど役立たないことを認識すべきだ。平均値に頼ることなく、どの購買層に、何を、どのような価格で販売するかを綿密に検討するといった姿勢が大切である。

6.これからの香港と日本が香港から学ぶところ:
香港も家賃などのインフレ、英語が通じなくなる、中国化していくなど不安要素はあるが、
日本に比べ地下鉄のICカード(オクトパス)や高速道路ETCなど優秀な制度を早くから持っていた。香港から学ぶべきところは①税制②自由貿易③他民族受け入れ制度④教育制度などがあげられ、日本が早く手を打たないと取り残されていってしまうだろう。    




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