第11回 香港ビジネス懇話会

『オリンピック後の中国をどうみるか』

開催日:2008年9月22日(月曜日)
所属名:国際協力委員会
場所:HSBC

日本香港協会東京本部では、9月22日HSBCビル大会議室において、香港ビジネス懇話会を開催しました。今回は、時事通信社香港特派員、同北京支局長、同解説委員、同上海支局長を歴任され、2004年から東洋大学教授としてご活躍されておられる信太謙三氏を講師に迎え、「オリンピック後の中国をどうみるか」と題し、最近のオリンピック後の中国に関する悲観論的著作を紹介する一方、永年に亙る中国駐在で肌身に感じてきたご自身の「中国のみかた」をご披露されました。

講演では、① サンケイ新聞が東京地区の夕刊を廃止したことでも理解されるように、今や「その日のニュース」はインターネットで見る時代となり、従来新聞が持っていた「速報性」「ニュース性」がなくなり、新聞も雑誌に似たセンセーショナルな報道スタイルをとるようになってきている  ② 「ダンボール肉まん」事件が中央電視台で「事実」として放送されたが、これは「中国は『食の安全』にも配慮している」として受け止められると考えた上でのこと。しかし、世界中から批判され大問題となったため、「やらせ」だったと訂正。しかし、信太教授は中央電視台の放映は党により管理されており、「事実」とみる。それは、当該餃子が「10個入で3〜5元」という価格で販売され、地方出身の労働者が食べていたものであることからも理解される。何故なら、小麦で作った「皮」と「豚肉」であれば、5元程度という安い価格では商売が成り立たないと分析。 ③ 書店へ行くと株・不動産価格が急落し、オリンピック以降大規模な投資案件がないとの判断から、中国は今にもだめになるとの見方をしている書籍があるが、信太教授はかかる論調には同調せず。中国の歴史をみると革命が起きたのは「食べられなくなったこと」。現在中国には1兆5千億ドルの外貨準備高があり、2010年末には2兆億ドルの大台に乗るとみられている。さらに胡錦濤総書記の後任を習近平党中央政治局常務委員とするのは政治体制改革に取り組む意欲の現れと分析。 そして、米国が頑張っているのに、中国が米国より先に崩壊することはないとのご意見を述べられました。 

講演終了後、質疑応答の時間では、香港問題をはじめ様々な角度からの質問がよせられたのに対し、信太教授は、丁寧にご返答されておられました。60余名の参加者からの盛大な拍手で閉会となりました。


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