第10回 香港ビジネス懇話会

『天安門事件(1989年)と中国政治の連続性〜現代中国の政治をどう位置付けるか〜』

開催日:2008年6月5日(木曜日)
所属名:国際協力委員会
場所:HSBC

日本香港協会東京本部では、6月5日HSBCビル大会議室において、香港ビジネス懇話会を開催しました。今回は講師に慶應義塾大学名誉教授の山田辰雄氏を迎え、「天安門事件(1989年)と中国政治の連続性〜現代中国の政治をどう位置付けるか〜」と題し、中国の政治問題を大学の研究者の立場からわかり易くご説明頂きました。

講演では、① 世間では、中国が1950年代に社会主義となり、文化大革命があり、更には改革・開放で「中国は変った」と言われる。しかし、中国の政治には変らない要素がある。それを認識して将来の中国を見て行こうという提言をされ、② 中国は依然として共産党独裁国家であり、共産党は人事権掌握、強い政策提言能力を持っている。 共産党の独裁を前提としつつ、共産党の支配が及ばない領域が増加してきている。即ち、市場経済、インターネット、ナショナリズム、腐敗、環境破壊などは共産党が独裁的権力を持っているがなかなかその権力が及ばない。 ③ ではこれが民主化と結びつくのか?中国の崩壊に結びつくのか?という疑問が生じる。かかる疑問に対して、中国では西側が考えている民主化は起こらないという考えを示されました。 民主化には「人民の異議申し立て」が制度的に保障されることが一番重要なことであるが、中国はなかなか変らないと主張されました。 ④ 2010年から2020年が中国の政治にとって重要であり、一人当たりのGDPが US$3,000〜4,000になると政府はなかなか抑えきれない。これがすぐに西側諸国が考える民主化に結びつかないと考える根拠は、山田名誉教授が主張する「規模の政治経済」である。中国は他国と比較できないほど規模が大きく、そのため西側諸国が考えるようには行かないと考えている。

という山田名誉教授の独創性と示唆に富んだお話を聞くことが出来ました。その後の質疑応答では会場から多数の質問がありましたが、懇切丁寧に回答され、大きな拍手をもって講演会は終了致しました。

 

 

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